齊藤 想の【サイトーマガジン】2024.06
【第200回のメメニュー】
◆公募分析・第20回坊ちゃん文学賞
◆小説でもどうぞ!に挑戦中(第31回)
◆プラスのショートショート1~3
◆公募情報数点
【◆公募分析・第20回坊ちゃん文学賞】
第20回坊っちゃん文学賞の受賞作はこちらから読めます。 ※リンクをクリック!
いままで過去受賞者の活躍が目立っていましたが、前回は受賞者がばらけた印象です。また掌編系よりショートショート系が強くなっています。
傾向がかなり変わったので、選考方法または下読みメンバーに変更があったのかもしれません。
そうした中でも変わらないのが「ダジャレネタ」の強さです。
佳作『砂道教室』、佳作『のどぼとけさま』は、その系統の作品です。
いままでにない系統として一発勝負ネタもあります。佳作『ルビぃなヤツら』がまさにその系統です。最終選考までの間口が広がったのかもしれません。
受賞作の傾向に変遷はあるものの、やはり坊っちゃん文学賞は「ダジャレネタ」が一番のオススメですね。
今年も頑張って応募します!
【◆リアルタイム企画 小説でもどうぞ!に挑戦中(31回)】
今月のテーマは「ありがとう」でした。
『ありがとうの交換』 ※作品はタイトルをクリック!
本作は能登半島地震をモチーフにしています。
自衛隊の訓示で「ありがとうと言われるのは3日まで」というのがあると聞き、なんとなく作品化してみました。
ショートショート系の公募で受賞を目指すには、時事ネタは避けた方が無難です。なにしろ鮮度の問題がありますし、経験的にも採用率は低いと感じます。
なので、本作では時事ネタから離れるために地名を避け、年代も避け、場所も変えることでぼやかしてみました。
この工夫がどれだけ効果的かはわかりませんが、とにかく試してみるのが大事ということで。
【プラスのショートショートその1】
第20回坊ちゃん文学賞に応募した作品その3です。
『プレゼント』 ※作品はタイトルをクリック!
本作はミスディレクションを活用しています。
ダメ男がしっかり者の彼女にモジモジしながら結婚を申し込むが拒否される。と思わわせて、実は彼氏からの離婚を拒否する話だったというオチです。
この手の作品を成立させるには、いかに読者を騙すかです。
結婚を申し込むといえば、結婚指輪です。離婚なのにどう指輪を差し出させるのかに苦労しました。
彼女を極端なキャラにしていますが、これは「この小さな箱に入れてプレゼントして欲しいのは、淳史の絶対に叶わない馬鹿みたいな夢だけなの。私は……私は、絶対に淳史と離婚しないから」を引き立たせるためです。登場させる小箱も、男が売れない詩人という設定も、このセリフから逆算して作っています。
印象深いセリフ、印象深いシーンが決まっているときは、そこから逆算するのが狙った作品に落とし込むコツです。
【プラスのショートショートその2】
第8回小説でもどうぞ!W選考委員会版に応募した作品です。
『落としたオノ』(佳作受賞) ※作品はタイトルをクリック!
ネタに困ったら昔話です。
公募のテーマは「悩み」でしたが、アイデアがなくて、それでふたつの選択肢から悩む昔話……ということで「金の斧と銀の斧」を選びました。
昔話でショートショートを作るコツは、変化を加える場所です。昔話のキーを変えるのです。細部に変化をつけても意味がありません。
ということで、今回は落としたものを変えるからさらに捻って、「そもそも、何を落としたのか覚えとらん」としてみました。
オチはかなり強引ですが、なんとかまとなったのかなと。
【プラスのショートショートその3】
YOMEBAのショートショート募集に応募した作品です。テーマは「家電」です。
『電動クジラ』 ※作品はタイトルをクリック!
本作は逆転の発想です。家電と言えばお手頃な電気製品ですが、それを巨大化してみたらどうだろう、というのがベースのアイデアです。
本作ではミスマッチを強調する仕掛けを組み込みました。
冒頭で訪問販売員が「電動クジラ」のパンフレットを開きますが、これも「巨大な家電」というミスマッチを強調する仕組みです。
訪問販売員は巨大な電化製品を売り込む割には、チマチマと小さい話を繰り返しますが、これもミスマッチを強調するためです。
大きさを強調するために小さい話も組み込むのは、形を変えた「衝突の原理」です。
大きいのと小さいのをぶつける。立派なことを下らないことをぶつける。よく使われる手法なので、御記憶いただけたらと。
【◆公募情報】
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