齊藤 想の【サイトーマガジン】2025.06

星新一賞は現代SFで勝負!
齊藤 想 2025.06.05
誰でも

【第212回のメュー】

◆こんな公募に挑戦しました・第12回星新一賞

◆小説でもどうぞ!に挑戦中(第43回)

◆プラスのショートショート1~3

◆公募情報数点

【◆こんな公募に挑戦しました・第12回星新一賞】

自分が毎年応募している賞です。星新一賞は理系文学を提唱しています。

名前こそショートショート神様、星新一の名前を冠していますが、基本的には短編SF賞と認識した方がよいと思います。過去受賞作の傾向からすると、SFの中でも、現代SFの色が濃いです。

自分は現代SFが苦手というより理解できないので、昔風の短編SFで応募しています。

昨年度応募したのは、木星の惑星エウロパを舞台にしています。

エウロパは氷の惑星であり、氷の下には海が広がっています。生命がいる可能性があると言われています。

このエウロパに、コールドスリープされた遺体を組み合わせました。

理系っぽくするために、「物体の長期保存には氷より冷水が適していること」「南極の氷も細菌が生息していること」などを盛り込みました。

ただ、化粧をほどこしても、根本アイデアがさえませんね。

やはり基本アイデアが大事なのかなと思います。

【◆リアルタイム企画 小説でもどうぞ!に挑戦中(43回)】

今月のテーマは「依存」でした。

『相利共生』(ChatGPT_85点)※作品はタイトルをクリック!

本作は教授が講演をするという形式です。これは書簡体の応用です。

書簡体といっても手紙をやりとりするだけではありません。インタビュー形式もあり、講演形式もあり、取材形式もあります。構造としては全部同じです。

描写がなく、話者がひたすら述べる。この会話の中で、さりげなく状況が分かるような情報を盛り込んでいく。

本作の工夫は、途中で質問を受け付けている部分です。ベースは書簡体ですが、講演形式を活かして第三者を入れることで、ストーリーを引っ張っています。

ひとつの技法をマスターすると、いろいろと応用が利くと思います。

【◆プラスのショートショートその1】

第43回小説でもどうぞ!に応募した作品その2です。

『優しい声』(ChatGPT_85点)※作品はタイトルをクリック!

本作は試しにChatGPTに初稿を書かせた作品です。

手順としてはまずテーマから10個アイデアを出させ、そこから使えそうなアイデアを何個かピックアップして、あらすじを書かせます。そこから、まともそうなあらすじについて、設定が不足している点について質問を重ね、あらすじを磨きます。

そうして完成したあらすじを元に、初稿を書かせました。

結果は大失敗です。

どうもChatGPTはシーンを点で考えているようで、その場面だけ切り取るとそれなりの文章なのですが、通して読むと統一感がありません。動き、描写、ストーリー、全てが表面的な繋がりしかなく、芯が通っていません。バラバラです。

結局、全面的に書き直しました。ストーリーも大幅に変更しています。まあ、AIの文章やあらすじが影も形もなくなったから、応募できたという部分があるのですが。

【プラスのショートショートその2】

第12回星新一賞に応募した作品です。

『エウロパの氷の下で』ChatGPT_92点)※作品はタイトルをクリック!

本作はある意味では子供っぽい夢を込めた作品です。

自分は、太陽系にもし地球外生命体がいるとしたら、エウロパだと思っています。

エウロパの氷の下には巨大な海があります。南極や光の届かない深海にも生物がいることを考えると、エウロパで生命が発生してもおかしくありません。

太陽光がなくとも、木星の重力による潮汐力で熱が発生していれば、単細胞生物なら生活できる可能性があります。

というような夢の世界を広げてみました。

ただ自然発生というだけではストーリーにならないのと、さすがにムリがありすぎるので、意図せずに生命の種をエウロパに撒いてしまったという設定にしました。

そして、その生命体が予想外の進化を遂げる、という感じでとりあえず大風呂敷を広げてました。

SFはこうした空想を広げるのが醍醐味ですし、面白いところだと思っています。

【プラスのショートショートその3】

第21回坊ちゃん文学賞に応募した作品です。

『卒業試験』(ChatGPT_95点)※作品はタイトルをクリック!

スリに弟子入りする話です。

昭和の時代には、いまでは考えられないような、達人技のスリがいたそうです。そうしたスリと戦い続けた刑事の回顧録を読んだことがあるのですが、財布を盗み、お札だけ取って戻すとか、もう神業です。

外国のスリの達人の実演も動画で見たこともがあります。技術もさることながら、心理的なトリックだけでなく、人間の知覚(錯覚)の応用など、全てが理にかなっています。これまたびっくりです。

本作はこうした驚きを、できるだけ作品に盛り込もうとしました。

ラストはこうしたスリの技術を逆に使うことで、主人公の良心が目覚めるという方向で落としています。改心するだけでは、設定を活かしきれないと判断しました。

主人公の心情が変わるシーンでも、できるだけ設定を活かすのが良いのかなと思っています。

【◆公募情報】


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