齊藤 想の【サイトーマガジン】2024.09

星新一賞の受賞傾向を分析と、「狙って書く」か「書きたいものを書く」かの選択と
齊藤 想 2024.09.05
誰でも

【第203回のメュー】

◆こんな公募に挑戦しました・第11回星新一賞

◆小説でもどうぞ!に挑戦中(第35回)

◆プラスのショートショート1~3

◆公募情報数点

【◆こんな公募に挑戦しました・第11回星新一賞】

日本で唯一「理系文学」を提唱する短編賞です。

〔主催者HP〕

第11回星新一賞に応募した作品は『史上最強棋士は誰だ!』です。自分の趣味である将棋ネタをゴリゴリにつぎ込んでいます。

星新一賞は「理系文学」を提唱しています。ジュニア部門と一般部門では受賞傾向が異なり、ジュニアではアイデア勝負、一般部門は現代SF勝負、といった色が濃いです。

けど、自分は「現代SF」が苦手で、読むこともほとんどありません。

例年の受賞作をみると、ひとつふたつは異色作が採用されるので、本作はその異色作の枠を狙って書いています。

というのは建前で、書きたいものを自由の書いて、そのまま応募しただけです。

過去受賞作を分析して、傾向に合わせた方が良いとは思っているのですが、狙いすぎると疲れてしまいます。好きなものを書く、というのは公募生活を続けるうえで大事なことだと思います。

ということで、昨年は完全に肩を抜いています。

書きたいのを書くのが一番だと思っていますので。

【◆リアルタイム企画 小説でもどうぞ!に挑戦中(36回)】

今月のテーマは「最後」でした。

『最終話』 ※作品はリンクをクリック

名作時代劇「水戸黄門」をイメージして書いた作品です。

本作は設定勝負です。メチャクチャな会議が進み、最後に意外性のあるオチで締める。

この構成は設定とオチさえ決めれば、あとは文章量の長短を比較的自由に調整できるという特徴があります。中盤の会議シーンを伸ばすか切るかの違いです。

ひとつの構成をマスターすると、アイデアが違っても同じ要領で書くことができます。カーナビ付きで運転するような感じでしょうか。実に楽です。

オチにもいつくか系統があり、本作は「輪廻転生」を採用しています。

構成を複数マスターし、オチの系統も複数マスターすると、掛け算で様々な作品を書くことができます。作品の量産体制に入れます。

様々な作家の作品を読み、多種多様な構成とオチを身に着けることが重要だと考えています。

【◆プラスのショートショートその1】

第11回星新一賞に応募した作品の技法解説です。

『史上最強棋士は誰だ!』 ※作品はクリック

本作は完全に楽しんで書いた作品です。

一般人には通じない将棋ネタをボンボンつぎ込んでいます。具体的には「ええ、まあ」「あ、はい」で誰の発言か分かるレベルの将棋マニアを対象に書いています。過去の名棋士たちの行動や戦い方も、それなりに合わせています。

この作品を応募して言うのもなんですが、こうしたマニア向けの作品は公募では厳禁です。下読みがマニアである可能性は極めて低く、下読みで落とされるのが普通です

過去の名人・偉人たちを登場させる場合ですが、明確な敗者を作らないように注意しています。

大会なので優勝者を決める必要はありますが、優勝できなかった棋士たちも、それぞれに元の時代で活躍するようにしました。

過去の偉人たちに経緯を払うことが大事だと、とぼくは思っています。

【プラスのショートショートその2】

第36回小説でもどうぞに応募した作品その2です。

『最後の特攻』 ※作品はリンクをクリック

自分がときたま書く戦争物です。戦争物を様々な公募に出していますが、一度も採用されたことがありません。トータルで入選・採用数は30~40に達するのですが、戦争物は見事に全滅です。

自分の経験上、戦争物は公募には向きません。

ではなぜ書くのかと言われると、単純に好きだからです。

生死にかかわる極限状態を、戦争物では説明抜きに作ることができます。このメリットは捨てがたいです。

だからこそ、公募の落選を重ねながら今後も書き続けていきたいと思っています。

そのうち、1回ぐらいは、とは思うのですが。

【プラスのショートショートその3】

第1回NIIKEI文学賞に応募した作品その3です。

『粗食の日』 ※作品はリンクをクリック

これは子供のころの経験がベースになっています。父が「粗食の日を作る」とか言い出して夕飯が「ご飯と塩」の日があったのですが、母が「なんか物足りないねえ」とつぶやきながら次から次へとおかずを出してくる。

ということで、自然と「粗食の日」は消滅しました。

本作はその経験をベースに、一見すると粗食だけど実は豪華……しかもスポンサーを喜ばすために新潟県産の物産をいろいろ紹介……という下心満載な構成を考えてみました。

NIIKEI的にいいかなと思ったのですが、受賞はできずです。下調べ不足だったかもしれません。

下心を出すにしても準備は万端でなければなりません。反省です。

【◆公募情報】

▼齊藤 想ブログ

https://takeaction.blog.so-net.ne.jp/

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