齊藤 想の【サイトーマガジン】2025.02
【第208回のメュー】
◆こんな公募に挑戦しました・2024さばえ近松文学賞
◆小説でもどうぞ!に挑戦中(第39回)
◆プラスのショートショート1~3
◆公募情報数点
【◆こんな公募に挑戦しました・2024さばえ近松文学賞】
さばえ近松文学賞は鯖江市が主催するで、江戸時代の文学者、近松門左衛門が幼少期を鯖江市で過ごしたことに由来します。
募集内容は恋愛小説で、物語のどこかで鯖江に関する「歴史」、「文化」、「産業」を入れる必要があります。
さばえ近松文学賞に応募しようと決めたとき、まずは前回受賞作を順番に読むことにしました。その結果、鯖江といえばメガネということで、メガネを登場させた作品が目立ちました。また、募集内容は恋愛小説ですが、受賞作の傾向はばらけており、間口が広いという印象も持ちました。
ここからは対策です。
少しでも目を引くために、鯖江要素のうち、メガネは落とすことにしました。では、どこで鯖江要素をいれるべきか悩んでいたら、副賞の「清酒”梵”」が目に入りました。
”梵”を生産しているのは、鯖江市の加藤吉平商店です。
もうこれしかない。そこで日本酒を調べて、少しでも地域性を増すために「北陸方で多く産出されている五百万石を使った日本酒を探し求める男」という設定に行きつきました。
日本酒名を書くかどうか悩み、特定の商品はまずいかなと思って消したのですが、今年の受賞作を読むと「梵」という商品名を出している作品がありました。
商品名を消したのは失敗だったようです。
地域性を条件にしている公募は、いろいろと調べるのが大事ということで。
【◆リアルタイム企画 小説でもどうぞ!に挑戦中(39回)】
今月のテーマは「眠り」でした。
『ツタンカーメン王の呪い』 ※作品はタイトルをクリック!
テーマの「眠り」を少しひねっています。
アイデアとしては逆転です。ツタンカーメン王は呪いをかけるのですが、実は呪いをかけられていた、というのがストーリーの骨子になります。
オチに結びつけるために、ツタンカーメン王は、途中から嫌々で呪いをかける必要があります。逆エスカレーションです。
最初の呪いを重くしてしまうと、エスカレーションの階段を作るのが難しくなります。そのため、自分は最初の呪いを「ノリ」で行ったことにしました。
階段を作るのが上手なひとなら重い呪いにしてもいいのかもしれませんが、この辺りは自分の実力と相談かな、と思っています。
自分の実力だと、この程度が限界、ということで。
【◆プラスのショートショートその1】
第39回小説でもどうぞ!に応募した作品その2です。
『9月1日』 ※作品はタイトルをクリック!
サスペンスでよく使われる二重人格を扱っています。よく使われるテーマを採用する場合は、何らかのひと工夫、何らかのひとアイデアが必要だと考えています。
本作の場合は、二重人格の相手が違うというアイデアをプラスしています。
しかも主人公は「自分と母」だと思っていたのが、実は「自分と父」で、さらに「自分と父が逆だった」という二重のひねりを加えています。
細かいところですが、最後のオチを活かすために、父と自分の行動を合わせています。オチで主人公は鏡を見て喋っていることが明かされるのですが、そのオチと辻褄を合わせるためです。
細かいところまで気を配ったからと言って採用率が高まるわけではありませんが、小さなこだわりを積み重ねることが、実力向上につながるのかな、と思っています。
【プラスのショートショートその2】
愛媛新聞超ショートショート用に書き溜めていた作品です。公募が無くなったので、順次公開しています。
『ライオンと象』 ※作品はタイトルをクリック!
アイデアとしてはダジャレです。
何度か書いていますが、ダジャレはできるだけ元の言葉のイメージから離れるのが良いです。そう意味で、本作では離れ方が足りません。
なので、ダジャレで勝負せずに、ダジャレは物語のスパイスに留め、ラブストーリーとしてまとめました。
ダジャレのインパクトが足りないときに、もうワンアイデアみたいな感覚で仕上げてみましたがいかがでしょうか。
【プラスのショートショートその3】
2024さばえ近松文学賞に応募した作品です。
『酒店にて』 ※作品はタイトルをクリック!
本作は山本周五郎の短編をモチーフにしています。題名は忘れましたが、死んだ妻を一心に愛し続けるあまり、死んだ後も位牌を持ち歩き、妻が生きているかのように生活を続ける男の話です。
この短編をベースにしていますが、モチーフに加えて「キャラを尖らせる」ことを意識してみました。「強調された特徴」と言い換えても良いです。
こだわりの日本酒を求める男性にはすでに「尖り」がありますが、主人公である女性店長にも何か「尖り」が欲しいと思いました。
そこで、彼女には「接客業の達人」という「尖り」を加えました。自分の本業は接客業ではありませんが、それに近い部分があるので、その経験をつぎ込んでいます。
短編ではキャラの全てを極端にする必要はありません。
一か所だけ「尖り」を作るだけでキャラが活き活きとして、物語はスムーズに流れていくと感じています。
【◆公募情報】
▼齊藤 想ブログ
https://takeaction.blog.so-net.ne.jp/
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