齊藤 想の【サイトーマガジン】2024.05

面白い物語を作るために必要な要素とは
齊藤 想 2024.05.05
誰でも

【第199回のメュー】

◆創作のためになる本(シナリオセンター式 物語のつくり方)

◆小説でもどうぞ!に挑戦中(第30回)

◆おまけのもう1作

◆プラスのショートショート1~2

◆公募情報数点

【◆創作のためになる本(シナリオセンター式 物語のつくり方)】

シナリオセンターとは1970年に新井一によって創設され、3000人以上もデビューさせた実績充分のシナリオ学校です。

その講義のエッセンスを詰め込んだのが、今回紹介する『シナリオセンター式 物語の作り方』です。

物語作成のHowTo本には、理論系と実務系があります。今回紹介する『シナリオセンター式 物語の作り方』は、実務系で、創作者目線で書かれています。

本書のエッセンスを抜き出すと、こうなるかなと思います。

 面白い物語 = 「テーマ」×「モチーフ」×「素材」

 ・テーマ  = 「〇〇は、△△だ」※1行で簡潔に

 ・モチーフ = 「全国優勝を目指す野球チーム」等。「ジャンル×〇〇もの」でも。

 ・素材   = 天(時代)×地(場所)×人(登場人物)

  → キャラ = 性格×憧れ性×共通性

 性 格:シンプルに。「〇〇過ぎる」とするとキャラが立つ

           憧れ性:観客が憧れる面。性格とつなげる。

               (例:正義感が強すぎるから、弱者を放っておけない)

           共通性:自分も同じ面があるよね、と読者に思わせる。

物語がつまらない原因

 ・主人公が目的に向かっていない。

 ・主人公が困っていない。

まだまだ紹介したい内容があるのですが、書き始めるときりがありません。それだけ有益な手法が詰まっています。特に「モチーフと素材の分離」、「主人公に目的を持たせる」というのは、掌編作成でもまったく同じです。キャラの作り方も、三要素を意識するだけで、たいぶ変わってくると思います。

この本には重要な技術がてんこ盛りです。

創作のお供に、ぜひとも『シナリオセンター式 物語の作り方』を手にしてみてください!

【◆リアルタイム企画 小説でもどうぞ!に挑戦中(30回)】

今月のテーマは「トリック」でした。

『ボトルシップ』 ※作品はクリック

テーマが「トリック」なので、本作はストレートに密室トリックに挑戦してみました。死体を密室の外に出すというトリックはありますが、逆に密室に死体を入れる、という逆転の発想はないだろうか、と考えた作品です。

ミステリ素人なのでなんとも言い難いですすが、個人的にはトリックと同じぐらい、キャラが大事だと思っています。そのため、キャラはすべてトリックから逆算して作っています

オチから逆算してキャラを作る、というのは掌編では必須のテクニックだと思います。

【◆おまけのもう1作】

第30回小説でもどうぞ!に応募した作品その2です。

『愚者のカード』 ※作品はクリック

作品その1は「トリック」をミステリと結びつけましたが、作品その2では手品と繋げています。手品でからかおうとしたら、実は相手が数段上手だった。下に見ていたら実は相手が上というよくある構造です。水戸黄門も基本的には同じ構成だと思います。

この構成にするには、登場人物たちが相手の実力を過少評価させる必要があります。水戸黄門の場合は、黄門様を小柄な老人にしています。

本作の場合ですが、相手役をにいつもニコニコして、ゆっくりと話す、どこか抜けているように見えるキャラにしました。

「まぬけに見える」とストレートに書くと面白味が半減します。

キャラの特徴を、描写で表現する工夫するを重ねることで表現の幅が広がっていくと思います。

【プラスのショートショートその1】

第20回坊ちゃん文学賞に応募した作品その2です。

『ひねくれものの宝物』 ※作品はクリック

サイトーマガジンのバックナンバーの第2回で公開している作品のリライトです。

元作品からかなり手を加えているので、比較してみると面白いかもしれません。

本作は設定勝負です。

壁に次々と絵が描かれ、それがストーリーになっていく。ストーリ―がどんどん動いていく。

このような設定勝負の作品は、オチを作るのが難しいです。

とにかく目指すべき場所は、設定の枠を飛び越えたオチです。設定が面白ければ面白いほど、設定を活かしつつ、設定を飛び越えるオチが目指すべきポイントです。

自分は「絵が変わる」という設定を越えたところにオチを作りたかったので、まったく違う舞台を用意しました。

成功したかどうかは別として、設定を飛び越えたオチの参考にしていただけたらと。

【プラスのショートショートその2】

超ショートショートに応募した作品です。

テーマは選択制で、「本」を選んでします。

『しゃぼんの本』 ※作品はクリック

本作はブレインストーミングの技法を活用しています。本は完成すれば動きません。その固定している本を、変化自在のシャボン玉と組み合わせることで、意外性のある設定を目指しました。固定したものを変化させるパターンです。

オチはシャボン玉という設定を活かしています。記憶に残るのが本なのに、まったく記憶に残らない。これも逆転の組合せです。

ラストはなんとなくファンタジーテイストにしてみました。このあたり好みが分かれる部分ですが、いかがでしょうか?

【◆公募情報】

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